IP奨励賞 -新受賞者-
第23回(2011年度) IP奨励賞決定
第23回IP奨励賞の受賞者は東北大学多元物質科学研究所 准教授 加納 純也氏
並びに神戸学院大学薬学部 教授 市川 秀喜氏に決定いたしました。
表彰日は当センターの設立記念日の8月29日です。
加納 純也氏 略歴
| 1967年10月20日 | 生年月日 |
| 1995年4月 | 同志社大学大学院工学研究科工業化学専攻博士課程後期課程単位取得退学 |
| 1995年6月 | 東北大学素材工学研究所 助手 |
| 1997年2月 | 博士(工学)同志社大学 |
| 2001年4月 | 東北大学多元物質科学研究所 助手(研究所再編統合) |
| 2005年9月 | 東北大学多元物質科学研究所 講師 |
| 2008年4月 | 東北大学多元物質科学研究所 准教授 |
表彰理由:
受賞者は、粉砕の分野で最も使われている、媒体を用いる粉砕機内の粉砕現象の詳細な把握と粒子径変化の予測を目指し、DEM(離散要素法)によって砕料が存在する状態での三次元媒体運動をシミュレーションする方法を世界に先駆けて開発した。本シミュレーションから得られる媒体の衝突エネルギーと実験から得られる粉砕速度定数の関係は、粉砕機の種類や操作条件によらず、一本の直線で表されることを明らかにし、粉砕過程における粒子径変化をDEMシミュレーションによって予測できることを世界で初めて示した。この予測法は粉砕機の最適運転条件の探索や新しい粉砕機の設計にも適用され、大きく貢献している。
粉砕に関係する研究者は年々減り続け、今後の学術と技術の継承と発展が危惧されている。受賞者は粉砕に精通し、かつコンピュータシミュレーションの技術を有する貴重な研究者であり、今後、粉砕技術の継承と発展に大きく寄与するものと期待できる。さらに粉砕過程で発現するメカノケミカル反応を利用した材料創成や金属リサイクルにも新しい発想で研究を展開しており、受賞者は今後も粉体工学の分野の発展に大いに貢献できる人材として期待できる。
市川 秀喜氏 略歴
| 1990年3月 | 神戸学院大学大学院薬学研究科修士課程修了 |
| 1990年4月 | 小太郎漢方製薬株式会社研究所員 |
| 1992年4月 | 神戸学院大学薬学部実験助手 |
| 1994年4月 | 同 研究助手 |
| 2001年4月 | 同 講師 |
| 2006年4月 | 同 准教授 |
| 2011年4月 | 同 教授 |
表彰理由:
受賞者は、ナノからミクロンサイズにいたる医薬用微粒子製剤の機能化のための「ナノ構造設計」の提唱と新規な微粒子型DDSの開発に取り組んできている。とりわけ、その中核となるのはドラフトチューブ付き噴流層湿式スプレーコーティング法に関する研究である。本法は、医薬品分野ではすでに工業規模で汎用されているが、その対象はもっぱら錠剤や顆粒など200 m以上の粗粒子に限られていた。これに対し、受賞者は素材・処方設計、装置改良、凝集・成膜機構の解析などの実験的・理論的研究を精力的に手がけ、その対象を20 mオーダーの微粒子にまで拡張することに成功した。この技術をもとに、核粒子と被膜のナノ構造を綿密に制御する粒子設計法によって、がん化学塞栓療法用短時間遅延放出、ペプチド医薬品の経口送達用長時間遅延放出、感温性薬物放出など、高機能・多機能な数々のDDS用微粒子製剤を創出し、国内外から高い評価を受け、さらに、知見の一部は数社の製薬メーカーにおける医療用製剤の生産プロセスへ技術転用がなされている。また、近年は、湿式ボールミル粉砕技術を応用して、これまで例を見ないペプチド医薬品の環境調和型水中固相合成技術の開発を試みるなど、粉体工学の新しい展開にも積極的に挑戦しており、薬学分野のみならず粉体工学を担う国際的研究者の一人として将来が大きく期待される。

